今回リバティとのコラボレーションを委託されたメンバーたちは、不思議の国でアリスが身にまといそうなデザインを考えたり、リバティのアーカイブを参考にしたりしました。
「ぼうっと考え始めました。―ヒナギクの花輪でも作ったら楽しいかな。でもわざわざ立ちあがって、お花をつむのは…めん……ど……」
ウィルトシャー・ベリー」を制作した発想豊かなデザイナーのDSが1936年に制作したアーカイヴデザイン、ヒナギクの花輪に言及したアリスの言葉をヒントに、選ばれたデザインです。
グランドに小さなトランプのマークがランダムに配置され、変わった地模様を作り上げています。
「ひざをついてのぞきこんでみると、通路の向こうに、見たことがないようなすてきなお庭が見えました。こんなくらい広間から抜け出して、あの色あざやかなお花の咲き誇る花壇を散歩できたら、どんなにすてきでしょう!」
ロンドン生まれの英国人女優で学校教師をも務めるキャサリン・ボーモントが選んだデザインです。彼女はディズニー映画『不思議の国のアリス』でのアリス役、『ピーター・パン』の中のウェンディ役の声優として有名です。 この柄は、リバティのアーカイヴに収められているいくつかの1930年代初期の柄を参考にして制作されました。
「黄金の 光輝く 昼下がり、
われら ゆっくり 川下り。」
児童書の作家及びイラストレーターとして40冊以上もの本を出版してきたローレン・チャイルドが制作した柄です。『不思議の国のアリス』の冒頭部分のボートでオックスフォードからイシス川を上っていくところを参考に、美しい夏の日に、小さなボートがひんやりとした水の中をゆっくりと進んでいく様子を想像しました。川の土手や水面から伸びる長い草、鮮やかな色とりどりの野生の花が絡み合う青く茂ったアシなどは、子供たちの心を釘付けにする物語のもつ魔法といえる完璧な情景です。
「『ボートは漕げるの?』一組の編み棒をアリスにわたしながら、ヒツジがたずねました。『ええ、ちょっとは― でも陸じゃだめよ― それに編み棒でなんて』といいかけたとたん、編み棒は手のなかでにわかにオールに変わっていました。気がつくと、ふたりは小さなボートにのって、流れにそってすべるように進んでいるところでした。こうなってはもうせいいっぱい漕ぐしかありません。」
ロンドンでスタジオとワークショップを運営しているニット作家ドナ・ウィルソンがデザインした柄です。アリスのレースの襟のついた可愛いブルーのサテンドレスを着ているイメージを念頭に、複雑に込み入ったレーススカラップを全体にあしらったニット柄をつくりました。
「アリスは、少しおずおずと言いました。『どうしておたくのネコは、あんなふうに、ニヤニヤ笑っているのですか?』
『あれはチェシャ―ネコ。』侯爵夫人が言いました。『だからだよ。』」
10年以上にもわたりルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』についての研究や講義を行ってきた、講師キエラ・ヴァクラヴィックが選んだ柄です。キャロルは舞台『不思議の国のアリス』のアリス役の少女には『クリーム色のリバティ柄のドレス』を着ることを望みました。その少女の名がアイザ・ボウマンです。
この三日月の形が、アリスバンドや、歯をむき出しにしたチェシャネコの笑いといった様々なものを換気させてくれ、水玉の模様は表面下で刻々と変わっていく形や柄を連想させ、アリスらしさが出ています。
「家の前の木かげにテーブルが用意されて、三月ウサギと帽子屋がそこでお茶をしていました。」
衣装デザイナー、歴史家、作家の顔を持つデボラ・ランディスが制作したデザインです。彼女自身の祖母が作った「アリス・ブルー」色の糸を使って刺繍した、バラの迷路の模様のついた小さなクロスを思い出し、アリスへの贈り物として柄に表現しました。
「『あら、オニユリさん』風にたおやかにゆれている花をみて、アリスは思わず、『あなたがおしゃべりできるよいいのにねえ。』
『しゃべれるよ』とオニユリがいいだしました。『相手によりけりだけれどね。』」
25年以上にもわたりハンドメイドの伝統的ジュエリーをつくり続けてきた著名デザイナーのアレックス・モンローがデザインした柄です。
自然や一風変わった英国的完成に掻き立てられ制作を続ける彼による、エレガントで幻想的な魅力のデザインです。